「プリズナー」は、ワインの教科書とも称される漫画『神の雫』に登場したことで話題となりました。
さらに2024年には人気ゲーム『ファイナルファンタジーXIV』とのコラボをきっかけに、再び注目を集めています。
とはいえ、まだその魅力を知らない方も多いでしょう。
そこで本記事では、以下の視点からプリズナーを紐解いていきます。
ワインに詳しくない方でもその魅力が伝わるよう、わかりやすくご紹介していきます!
『神の雫』をきっかけに人気に火がついた「シャトー・モンペラ」や「カサーレ・ヴェッキオ」については、こちらをご覧ください。


プリズナーのワインは神の雫でどう描かれたのか

「プリズナー」が登場するのは『神の雫』最終章・第8巻。
この作品に登場するワインの多くは、登場人物の心情や人生の岐路を映し出す“象徴的な存在”として描かれています。
では、プリズナーは物語の中でどのような場面に登場したのか。
まずは印象的だった“ペアリングシーン”を振り返ってみましょう。
ガトーショコラとのマリアージュで登場
このシーンは、主人公・神咲雫がとあるお店を訪れた場面で描かれます。
彼の前に運ばれてきたのは濃厚なガトーショコラと、それに寄り添うように置かれた赤ワイン、それが「プリズナー」でした。
彼らは目にした瞬間に、二つの「味わい」を想像します。
ビターな余韻を残す甘いチョコレートに、スパイス香をまとった凝縮感のある赤ワイン。
その組み合わせから「濃厚同士は、さすがに重すぎるのでは…」という疑いの気持ち。
プリズナーとガトーショコラの味を知る雫たちは、一瞬ためらうような表情を見せつつ、静かにその一口を口へと運ぶのでした。
作中で語られた、先入観からの「解放」
しかし、口の中でマリアージュが起きた瞬間に空気は一変。
重厚なプリズナーの骨格と、ビターなガトーショコラの甘苦さが見事に調和し、互いを高め合う味わいへと昇華されたのです。
作中では、「見た目や想像による先入観」こそが人を縛る“鎖”であり、プリズナーはそれを打ち破る“解放者”として描かれています。
ブラックチェリーを基調に、ダークチョコレートやスパイスといった複雑で奥行きのあるアロマ。
しっかりとしたタンニンがありながら、角の取れたまろやかな口当たり。
重厚でありながら自由さを感じさせるその味わいは「型にはまらないペアリング」を通して、新たな発見をもたらしました。
まさにこのシーンは、“既成概念を覆すマリアージュ”として物語の中でも印象深く描かれています。
FF14コラボで話題に!プリズナーワインが注目される理由

「プリズナー」は『神の雫』への登場をきっかけに、日本でも一躍その名が知られるようになりました。
とはいえ、作中でのインパクトはそれほど強くないため「モンペラ」のような一大ブームには至らず、次第に話題も落ち着いていきます。
そんな中、再び注目を集めるきっかけとなったのが、人気オンラインゲーム『FF14』との公式コラボ。
ワインとゲームという異色の組み合わせながら、その世界観と見事にマッチしてプリズナーは再び注目の的に。
ではなぜ、このコラボがこれほど注目されたのか。
その理由を、時系列に沿って見ていきましょう。
プリズナーとFF14コラボの経緯
きっかけとなったのは、両者に共通する“ストーリー”や“世界観の深さ”でした。
プリズナーワインのラベルには囚人の姿を描いた版画アートが用いられ「自由への渇望」や「解放」といったテーマが込められています。
一方でFF14も「宿命との決別」や「仲間との再生」など、心を揺さぶる重厚なストーリーが多くのファンを魅了。
こうしたテーマの共鳴が両者の世界観を自然に融合させ、唯一無二のコラボを実現させました。
ワイン好きにとってはFF14の魅力に触れるきっかけとなり、ゲームファンにとってはワインの奥深さに出会う入口に。
それぞれの層に新たな発見をもたらす、感度の高いコラボレーションとなりました。
[第一弾]2021年12月に発売(Prisoner Red Blend 2018)の入手はできる?
このコラボは現在までに第一弾と第二弾に分かれて開催されており、その始まりは2021年まで遡ります。
初回のコラボでベースとなったのは「プリズナー レッドブレンド 2018」。
FF14のキャラクターや物語のエッセンスを詰め込んだラベルが話題となり、イベントや一部の通販限定で展開されました。
販売開始直後に完売する店舗も出るなど、その人気ぶりがうかがえます。
“ラベルのデザインに惹かれて購入し、味に魅了された”というファンも少なくありません。
こちらは楽天やAmazonなどのECサイトで探しても見つからず、現在では入手困難な一品となっています。
[第二弾]2024年1月に発売(Prisoner Red Blend 2021)の入手は?
第二弾は、FF14の10周年を記念して登場した特別仕様。
「光の戦士」の描き下ろしアートをあしらったコレクターズボックスが採用され、ファンの心をつかむ演出が随所に施されています。
使用されたヴィンテージは「プリズナー レッドブレンド 2021」。
ラベルは一見すると通常品と変わりませんが、実は二重構造になっており、通常ラベルをめくるとボックスと同じ「光の戦士」が現れるというサプライズ仕様。
黒を基調に白字と鎖のモチーフをあしらったシックなデザインは、両者の世界観を力強く表現しています。
FF14ファンなら思わずうなずく要素が細部にちりばめられ、SNSでも話題に。
限定パッケージというプレミア感も相まって、第一弾と同じく予約受付と同時に売り切れになる店舗が続出しました。
第二弾に関しては現在もわずかに取扱うショップがあるようです。
通常品のレッドブレンドと比較しても、価格帯はそれほど変わりません。
入手したいという方はお早めにご検討ください。


高評価を輩出するプリズナーの種類と味わい

プリズナーの種類はフラグシップである「レッドブレンド」だけではありません。
実は、複数のラインナップが展開されており、どの銘柄にも共通しているのは“濃厚で記憶に残る味わい”という個性です。
ここでは主要な銘柄をピックアップし、それぞれの違いや味の特徴について解説します。
ワイン好きの方はもちろん、これからプリズナーを試してみたいという初心者の方にも分かりやすいようにまとめてみました。
商品名 | 特 徴 |
---|---|
ザ・プリズナー レッドブレンド (赤) | ≪相場≫約13,000円〜15,000円 ≪人気の年≫2016年・2017年 ジンファンデル主体の濃厚ブレンド。 スパイスやダークチョコの風味が特徴で肉料理との相性抜群、ワイン愛好家にも人気。 |
アンシャックルド レッドブレンド (赤) | ≪相場≫約4,600円〜6,000円 ≪人気の年≫2016年・2019年・2021年 果実味豊かでスムーズな飲み口。 価格帯も控えめで初心者にも親しみやすく、カジュアルな食事にぴったり。 |
ザ・プリズナー ジンファンデル (赤) | ≪相場≫約6,000円〜9,500円 ≪人気の年≫2017年・2016年・2021年 ベリーやスパイスの香りが濃厚でタンニンも強め、飲みごたえ重視の赤ワイン好きにおすすめ。 |
アンシャックルド ソーヴィニヨン・ブラン(白) | ≪相場≫約4,000円〜6,000円 ≪人気の年≫2020年・2021年 柑橘系とハーブの爽やかな香りで軽快、冷やして美味しい白。前菜やサラダと好相性。 |
プリズナーは複数のブドウ品種をブレンドして造られるため、一般的な「当たり年」という概念はあまり当てはまりません。
しかし、ヴィンテージごとに味わいや評価に違いがあり、特に高評価を得ている年も存在します。
入手するなら相場や人気年は抑えておいて損はないので参考にしてください。
これらの特徴を踏まえ、楽天やAmazonなどのECサイトでの取り扱い状況を確認してみました。
代表作:ザ プリズナー レッド ブレンド


デイリーワインとは一線を画す味わいで、バランスが絶妙です。
Vivinoのレビューでも「ブレンドの完成度が高い」「バランスが絶妙」といった声が多く見受けられました。
そこで特に人気の高い2016年、2017年あたりをチェックしてみましたが、全くヒットせず。
この年はプリズナーワインカンパニーがコンステレーションブランズによって買収された年です。
品質や注目度の高さから市場での流通量が極端に少ないことが予想されます。
そのため、2016年前後のヴィンテージを手に入れるのは非常に難しく、入手困難なレアワインと言えるでしょう。



2022年でも評価は4.2と充分高いのでご安心を。
なお、プリズナーには「カベルネ・ソーヴィニヨン」もラインナップされており、こちらは青いラベルに囚人のデザインが施された別銘柄です。
お間違えのないようご注意ください。
自由の象徴:プリズナー アンシャックルド レッドブレンド





こちらはボトルラベルのインパクトもあり好みのテイストです。皆に喜んでもらえる1本になりました。(50代女性)



1000円台から20000円くらいのワインを幅広く飲むのですが、個人的なランキング3位以内に入る赤でした。 迷ったら購入して飲んでみることを無条件でお勧めできるワインです。(40代男性)
引用:楽天みんなのレビュー
熟成感や高級感が魅力の「レッドブレンド」に対し、よりカジュアルでフレッシュなスタイルを打ち出しているのがセカンドワインの「アンシャックルド」です。
同じく2016年前後のヴィンテージは市場にないものの、2021年ヴィンテージには多くのレビューが寄せられ、高評価を獲得しています。
プリズナーの世界観を気軽に楽しみたい方は「アンシャックルド」から試してみてください。
力強い赤:プリズナー ジンファンデル


ジンファンデル主体の「レッドブレンド」に対し、こちらは100%単一品種で造られた“純粋なプリズナー”。
リサーチの結果、人気のヴィンテージ以前にそもそも取扱い自体が非常に限られており、市場での流通はごくわずかです。
そのため日本国内では口コミもほとんど見られませんが、海外では高評価のレビューが数多く寄せられています。
取り寄せて入手は可能ですが、相場よりかなり上がってしまうので興味のある方はこれを機にお見逃しなく。
華やかな解放:アンシャックルド ソーヴィニヨン ブラン





この価格で、この深い味わい!家族全員がこの白ワインのファンになってます。(男性60代)
引用:楽天みんなのレビュー
プリズナーシリーズの中でも、爽やかな飲み心地が特徴の白ワイン。
柑橘系の果実やハーブの香りが心地よく広がりキリッとした酸味が印象的、冷やして楽しむとより一層開放感のある味わいに仕上がります。
こちらも手ごろな価格帯なので、赤ワインより白派という方にもぴったりの一本です。
プリズナーシリーズは、どの銘柄を選んでもしっかりとした“個性”が感じられるのが特徴。
味の好みやシーンに合わせて選べる豊富なバリエーションこそ、多くのファンを惹きつけてやまない理由の一つと言えるでしょう。
また、印象的なワインラベルは綺麗に保管しておくと良い記念になります。
特に限定デザインのボトルはコレクションとしても人気なので、ラベルの保存方法もチェックしておきましょう。


破壊と創造を試みた造り手とブランド背景


プリズナーが誕生した背景には、常識にとらわれない発想と芸術的な感性を持つ造り手の存在がありました。
この章ではブランドの立ち上げからこれまでの歩み、そして印象的なラベルデザインに込められたストーリーまで。
知ればもっと楽しめるプリズナーの“裏側”をひも解いていきます。
生みの親、デイヴ・フィニーとオリン・スウィフト
プリズナーの創設者は、カリフォルニアのワイン業界でもひときわ異彩を放つ人物――デイヴ・フィニー。
1998年、自身のワイナリーブランド「オリン・スウィフト」を立ち上げ、独創的かつ力強い赤ワインを次々と世に送り出しました。
その中でもプリズナーは、2000年代初頭にスタートした注目のプロジェクト。
ジンファンデルを主体に、当時は“寄せ集め”とされていた複数のブドウ品種をあえてブレンドし、新たな赤ワインのスタイルを築き上げました。
当時は「高級ワイン=単一品種」という固定観念が根強く残っていた中、ブレンドに芸術性と市場価値を持たせた彼の手法は、まさに革新的。
プリズナーは瞬く間に注目を集め、ワイン業界に大きなインパクトを与えました。
その後、ブランドは2010年に売却されたものの、デイヴ・フィニーの哲学と感性は、今もプリズナー・ワイン・カンパニーに色濃く受け継がれています。
なお、彼の代表作である「オリン・スウィフト」は現在もガロ社の傘下で展開され、フィニーの名を冠した人気ブランドとして健在です。
プリズナーのワインラベルに込められた意味と物語
すでに触れたように、プリズナーを語るうえでラベルの存在は欠かせません。
近年はFF14とのコラボに注目が集まっていますが、あらためて“本家”のデザインに込められた意味を掘り下げてみましょう。
ラベルの中心に描かれているのは、18世紀スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤによる版画作品『小さな囚人』。
このアートは人間の苦悩や社会の矛盾を象徴する作品であり、創設者デイヴ・フィニーがワインに込めたテーマ「制限からの解放」と深く重なります。
“囚人”という一見ネガティブな言葉を、芸術的な表現と力強い味わいによって“ポジティブな象徴”へと昇華させたのがプリズナーなのです。
また、「アンシャックルド(=解き放たれた)」など、シリーズを通じて一貫したメッセージが込められており、その思想を全面に感じ取ることができます。
ワインの立ち上げ背景やラベルに込められた物語に興味がある方は「オーパスワン」や「rindo」のストーリーも一読の価値がありますよ。
どちらも個性が際立つ銘柄なので、知っておくと会話の引き出しとしても役立ちます。




プリズナーワインはコストコなどの店舗にある?


プリズナーは一部で注目されているものの、日本国内ではまだメジャーなワインとは言えません。
そのため一般的なスーパーなどで見かけることはほとんどなく、入手場所は限られています。
ただし、海外発の大型会員制ストア「コストコ」では店頭で取扱われることがあるようです。
とはいえ、口コミによると常設品ではなく「スポット入荷」のため、店頭で出会えるかどうかはタイミング次第。
また、コストコでは「アンシャックルド」の方が比較的多く流通している傾向があります。
店頭でプリズナーを探す場合の注意点をいくつかまとめてみました。
ヴィンテージを狙った入手は困難
まず押さえておきたいのは、店頭で特定のヴィンテージを狙って購入するのは非常に難しいという点です。
これはコストコに限らず、実店舗全般に共通する傾向と言えるでしょう。
というのも、店舗では限られた棚スペースの中で、より多くの人に売れる“定番商品”を優先して展開しています。
そのため流通量の少ないヴィンテージワインなどは置かれにくく、在庫として回転率の高い商品が中心となりがちです。
加えて、プリズナー自体がいわゆるデイリーワインではなく「プレミアムブレンド」として位置づけられていることも、取り扱いの少なさにつながっています。
ヴィンテージにこだわらない方であれば問題ありませんが「人気の年」を手に入れたい場合は、オンラインショップの利用をおすすめします。
コストコのプリズナー価格帯と入手時の注意点
まず、コストコで入手するには有料会員(約5,000円/年)である必要があります。
これはコストコのオンラインストアでも変わりません。
すでに会員であったり、頻繁にコストコを利用するなら問題ありませんが、ワインのためだけに会員登録はやや割高に感じられるかもしれませんね。
なお、コストコの価格帯や取扱い状況は、公式オンラインストアで確認することができます。
≪コストコオンラインストアの取扱いと価格帯≫
商品名 | 年代・価格帯 |
---|---|
ザ・プリズナー レッドブレンド | 2022年ヴィンテージ 約15,000円(1,000ml) |
アンシャックルド レッドブレンド | 2023年ヴィンテージ 約4,000円(750ml) |
プリズナー ジンファンデル | 取扱いなし |
アンシャックルド ソーヴィニヨン ブラン | 取扱いなし |
店頭での在庫状況は不明ですが、コストコのオンラインストアで確認できたのは2種類のみでした。
いずれも比較的新しいヴィンテージのようで、特に「プリズナー レッドブレンド」は1,000mlサイズのみのようです。
仮に750ml換算で価格帯を比較してみましたが、他のECサイトと大きな差は見られませんでした。
「アンシャックルド」はやや手頃に感じられるものの、楽天などでは独自のクーポンが適用できることも多く、最終的にはほぼ同等の価格帯になると考えられます。
【まとめ】プリズナーワインは神の雫でも評価を得ている一本
プリズナーワインは、その独創的な味わいから印象的なラベルデザインに至るまで、他にはない個性を放つ一本です。
“解放”というテーマを象徴する存在として『神の雫』のストーリーにも深く関わっており、強いメッセージ性を持っています。
さらにファイナルファンタジーXIVとの公式コラボを通じて、新たなファン層にもその魅力が広がりました。
ここまでご紹介してきた内容をあらためて整理して振り返ってみましょう。
【プリズナーワインのまとめ】
・神の雫では最終章第8巻、ガトーショコラとのマリアージュで登場
・先入観からの「解放」がプリズナーのコンセプトと一致していた
・FF14とのコラボ経緯も「解放」がテーマであり世界観が融合した
・コラボ第一弾は2021年12月、限定商品は現在では入手困難
・コラボ第二弾は2024年1月、現在も取り扱いはあるが数は少ない
・プリズナーにはセカンドワインのアンシャックルドやジンファンデルなどがある
・いずれも評価が高く、海外で人気の一品
・プリズナーの創設者は「デイヴ・フィニー」とそのワイナリー「オリン・スウィフト」
・ブレンドワインに芸術性と市場価値を持ち込んだ第一人者
・プリズナーはコストコにもある可能性が高いが、相場はECサイトと同程度
アンシャックルドをはじめとする展開により、プリズナーは価格帯や味わいのバリエーションが豊富に揃っています。
「ワインは詳しくないけれど、ちょっと試してみたい」という方でも手に取りやすく、気軽にその世界観へと足を踏み入れられるようになりました。
プリズナーが多くの人に選ばれ続けているのは、単に“濃厚で美味しい”からだけではありません。
その根底には“解放”という強いテーマや、造り手の信念、そしてストーリー性のあるブランド哲学が息づいています。
一杯のグラスに込められた“想い”を、ぜひあなた自身の感性で感じ取ってみてください。
きっといつものワインとは違う、心に残る余韻をもたらしてくれるはずです。
宜しければこちらもご覧ください。



