「割烹って、ちょっと敷居が高そう…」
そんなイメージを持っている方にこそ、知ってほしいお店があります。
今回訪れたのは、カウンターわずか8席の割烹「四代目魚盛」。
知人の紹介もあって、運よくオープン初日の“最初のお客”として入店することができました。
ここはただの「割烹」ではなく――
“受け継がれた目利き”と“若き店主の挑戦”が融合した、注目の一軒です。
四代目魚盛とは?父から受け継いだ店名と、魚屋から続くルーツ
まず、印象的なのが店名である「四代目魚盛」。
実はこの名前、近隣で割烹を営んでいた、店主のお父様のお店を引き継いだもの。
ルーツはさらに深く、元は魚屋さんだった曾祖父・盛一郎さん(初代)まで遡ります。
毎朝市場に足を運び、目利きで鮮度の良い魚を見極める――その文化が、現在の料理の土台に。
割烹としてはお父様の代からで実質二代目ですが、その背景には先代の魚屋の歴史があります。
店名「魚盛」の「盛」も、初代・盛一郎さんの名に由来しているそうです。
三代以上にわたって受け継がれてきた、確かな系譜と言えるでしょう。
意外だったのは、そんな環境で育ちながらも
「昔は生魚が苦手でほとんど食べられなかった」というエピソード。
そこから一転、あるきっかけで魚の美味しさに目覚め、父と同じ道へ…。
受け継がれる技術とお店は、時代とともに日々進化し続けています。
敷居の高さと居心地の良さが共存する空間

店内はカウンター8席のみ。
一見すると「やはり高級そう…」と感じるかもしれません。
ですが、実際に入ってみると印象は一変します。
落ち着いた空気の中に、どこか温かみがある。
緊張感はありつつも、不思議と居心地がいい。
そして何より――
店主が32歳の若さで、しかも気さくなイケメン。
このギャップが、不思議と割烹のハードルを下げてくれます。
「ちゃんとした店だけど、気負わずまた来たくなる」
そんな絶妙なバランスの空間です。
【実食レビュー】4,000円とは思えない圧巻のコース内容
今回はオープン記念として、特別コースを提供いただきました。
提供された料理は全8品。
この内容で4,000円は、価格設定を疑うレベルです。
■お吸い物・ホタルイカの沖漬け・もずく酢・アジの南蛮漬け

[お吸い物]
透き通る一杯は、薄口醤油と鰹だしの上品な香り。
優しいのに、しっかり存在感がある。
「飲み干すのがもったいない」と感じたのは久しぶりでした。
[ホタルイカの沖漬け]
見た目は濃いが、味はむしろ甘め。
噛んだ瞬間に広がる旨味は、日本酒との相性が抜群。
これは完全に“お酒泥棒”。
[もずく酢]
正直、驚きました。
もずくがこんなに完成された料理になるとは…。
酢は控えめで、素材を引き立てる役割に徹している。
生姜のアクセントも絶妙で、一段上の料理へ昇華しています。
[アジの南蛮漬け]
南蛮漬け=パンチ強め、という印象を覆す一皿。
優しい味わいの中に、鮮度の良さが際立つ。
臭みゼロ、小骨も気にならない。
おそらく見えない部分で相当手がかかっています。
■刺身盛り合わせ(ブリハラミ・アジ・イサキ・イカ)

ここは圧巻。
共通点はただ一つ。
鮮度がすべてを物語っています。
■炊き合わせ

家庭料理との違いを思い知らされる一皿。
素材ごとに火入れ・味付けを変えることで、それぞれの旨味を最大限に引き出している。
特に椎茸は噛んだ瞬間に旨味が溢れ出し、思わず笑ってしまうレベルでした。
■焼き魚(ブリ照り・塩焼き)

照り焼きの程よい甘みはブリの味わいを引き上げ、塩焼きに至ってはお皿の上でマリアージュ。
中は少しレアな焼き加減で、ほろほろとした部分と、しっとりとした部分の両方が楽しめて美味。
本来なら中途半端な火通しは臭みの原因になるはずが、全くない。
鮮度が良くないと成立しない一皿です。
添えられた島ラッキョウと日本酒が口の中をリセットしてくれます。
■天ぷら(キス・山菜三種)

キスは下処理が丁寧で外サクサク、中ふわふわ。
そして春を感じる山菜三種。
どれも料理によってポテンシャルが引き出された味わい。
特にふきのとうの苦みとコクは、日本酒との相性が抜群でした。
地元酒屋とのつながりも魅力的

お酒はなんと、私が以前角打ちで訪れた福屋尾崎商店さんからの仕入れ。
一度は聞いたことのある名酒から、取り扱いの少ない希少な日本酒まで幅広く置いています。
ちなみに、いただいた白ワインは基本的に飲食店にしか卸されないものとのこと。
チリワインですがかなりフルーティー、あまりお目にかかったことのない味わい。

刺身とのマリアージュも良いですが、南蛮漬けや天ぷらと好相性でした。
ただし結論としては――
繊細な和食には“ライスワイン(日本酒)”に軍配といったところ。
お酒も手に取りやすく、一杯600~1,000円が中心となっています。
まだオープンからそれほど経っていませんが、ラインナップも続々と更新されている様子。
詳細はあえて語りません。
ぜひその目と舌で、秘蔵のお酒と料理のマリアージュを楽しんでみてください。
ちなみに、美味しいお酒を卸している福屋尾崎商店さんについてはこちら。

ランチ価格も安すぎる…
現在予定されているランチがこちら。
割烹ですよね?と疑いたくほどの価格設定です。
頂いた料理のクオリティを考えると、リーズナブルというイメージしか湧きません。
ちなみに現在のディナーは単品中心ですが、お任せコース(4,500~5,000円)を検討中とのこと。
密かにぬか漬けなども仕込まれていたので、これからの新メニューも楽しみです。

四代目魚盛は“こてまり”のような、通いたくなる一軒
ドラマ『相棒』に登場する小料理屋「こてまり」をご存じでしょうか。
あの落ち着いた雰囲気をイメージしていただけると分かりやすいです。
気さくな店主と、どこか温かい空気。
そして素材を活かした丁寧な料理。
近くにあったら、ついふらっと寄ってしまう。
そんな魅力を持ったお店でした。
ぜひ一度、その一皿と空間を体験してみてください。
