オレンジワインを初めて飲んだとき感じる違和感。

なんだかクセが強くて飲みにくい…。



実はそれ、オレンジワインのチョイスを間違えているかもしれません。
オレンジワインは白ワインとは違って皮や種を一緒に漬け込んで作るため独特の風味と渋みがあります。
また、作り方によって味の変化が激しいので好き嫌いが分かれることもしばしば。
しかし背景や正しい飲み方を知ることで、認識がガラッと変わってしまう魅力とポテンシャルを秘めるのがオレンジワイン。
飲むにつれて、その奥深い味わいの虜になる人が世界中で後を絶ちません。



私もそのうちの一人、みなさんに魅力をお伝えします。
≪この記事でわかること≫
◎ オレンジワインの味や特徴
◎ 美味しく飲むコツや料理・ペアリング
◎ 初心者でも楽しめるおすすめ銘柄
これを読めば「オレンジワインはまずい」という認識が変わり、もっと気軽に楽しめるようになるかも。
ぜひ最後まで読んで自分にぴったりの一本を見つけてみてください。
こちらは余談ですが長期熟成のオレンジワインはコルクが抜けにくいことがあります。
ご参考までにどうぞ。


オレンジワインがまずいと感じるのはなぜ?





オレンジワインを飲んだけど、思っていたのと違ってまずかった…。
そんな感想を持つ人は意外と少なくありません。
しかし原因の一つとして想像やイメージが先行してしまった可能性があります。
ここではオレンジワインをまずいと感じる理由と、その解決策を解説します。
まずいと感じる理由と美味しく飲むためのポイント
オレンジワインが「飲みにくい」「クセが強い」と思われる理由はいくつかあります。
一つでも当てはまったら、認識を見つめ直すことで美味しく飲めるきっかけになるかもしれません。
白ワインのような味を想像している
オレンジワインは白ワインと同じブドウを使います。
そのため白ワインをイメージする傾向がありますが、実際は作り方が異なるので「別物」と考えたほうがよいでしょう。
白ワインが果汁だけを発酵させるのに対して、オレンジワインはブドウの皮や種も一緒に発酵させます。
このためオレンジワインには次のような特徴があります。
「白ワインの延長で飲もう」と思っていると全く違うその味にギャップを感じることがあります。



私は初めてビールを飲んだ時のことを思い出して衝撃を受けました…。
先入観って怖いですね。
飲む温度が合っていない
オレンジワインは温度によって味が大きく変わります。
冷やしすぎると渋みが際立ち、常温に近づくと香りやコクが引き立ちます。
一般的に12〜16℃がオレンジワインの適温と言われています。
冷蔵庫から出したばかりだと冷えすぎているので、少し時間を置いてから飲むと美味しく感じる可能性があります。
また、ファンの中には「熱燗オレンジワイン」と言って60℃まで温めて飲む方がいます。
一般的な楽しみ方ではありませんが、この飲み方を提唱したのがイタリア白ワイン界の巨匠である「ヨスコ・グラブネル」。
有名な造り手が型破りな飲み方をオススメしたことから、この飲み方は広く知られるようになりました。
高温まで温めると甘みや旨味が強調され、まろやかになります。
また、果実味・スパイス感が強くなり、特に濃厚なオレンジワインを使うと紅茶のような香ばしさや複雑な風味が引き立ちます。
料理などのペアリングが合っていない
オレンジワインはフルーティーさと渋みを兼ね備える非常に個性的なワインです。
そのため料理とのペアリング次第で美味しさが大きく変わります。
オレンジワインに合うおすすめの料理と、相性の良い食材の組み合わせは次のとおり。
≪相性の良い料理の例≫
料 理 | ペアリングの特徴 |
---|---|
★チーズ (エポワス・タレッジョ・コンテなど) | コクのあるウォッシュチーズとよく合う |
★グリル料理 (ローストチキン・ポークソテーなど) | スパイスやスモーキーな風味がワインとマッチ |
★照り焼きや醤油ベースの和食 (照り焼きチキン・鰻の蒲焼きなど) | 甘じょっぱい味付けとマッチ、ほんのり甘い味わいが引き立つ |
★味噌や塩麹を使った魚料理 (銀ダラの西京焼き・塩麹のマリネなど) | 発酵調味料を使った魚料理と相性がいい |
オレンジワインにはスパイスの効いた料理や発酵食品が特に合うとされています。
白ワインに合う軽い料理(サラダや魚のカルパッチョ)よりもしっかりした味の料理(チーズ、スパイスの効いた料理)と合わせるのがおすすめです。
また、オレンジワイン次第では逆に合いづらい料理も存在します。
≪相性の良くない料理の例≫
料 理 | ミスマッチの理由 |
---|---|
レモンを多用した料理 | 酸味がぶつかり、ワインの味がぼやける |
繊細な刺身や白身魚 | タンニンの渋みが魚の風味と合わないことが多い |
クリーム系パスタ | 乳脂肪分がワインの渋みとぶつかる可能性あり |
さっぱりしすぎ、または酸味が強すぎる料理はオレンジワインとは合いにくいとされています。
これらを試しても「やっぱり好みじゃないかも…」と思う場合は料理で大量消費がいいです。
お肉系ならオレンジワインを代用しても美味しくいただけるのでこちらをご参考までにどうぞ。


オレンジワインの発祥と製法


出典:GoogleMap
最近注目を集めるオレンジワインですが、その歴史はとても古く数千年前にさかのぼるといわれています。
白ワインや赤ワインと比べても独特の製法があり、その違いが味わいや香りに大きな影響を与えています。
ここではオレンジワインの発祥と歴史、そして伝統的な製法から現代の技術まで見てみましょう。
オレンジワインのルーツはジョージア
オレンジワインの発祥地として有名なのが「ジョージア(旧グルジア)」です。
ジョージアは世界最古のワイン生産地のひとつとされており、考古学的な研究によると約8000年前からワイン造りが行われていたことが分かっています。
当時のワイン造りは、現在のようなステンレスタンクや木樽ではなく「クヴェヴリ」と呼ばれる素焼きの壺を地中に埋め、ブドウを発酵・熟成させる方法でした。
この伝統的な製法によって長期間、皮や種との接触が生まれ、タンニンを含む独特な味わいのワインができあがります。
世界で広がるオレンジワインと自然派ブーム
ジョージアのオレンジワイン製法は、長い歴史の中でイタリアやスロベニアなどのヨーロッパ各地に伝わりました。
特にイタリアのフリウリ地方やスロベニアでは、古くから伝統的なオレンジワイン造りが受け継がれています。
しかし20世紀に入るとワイン産業が盛んになり、フルーティーで軽やかな白ワインの人気が高まったことなどからオレンジワインは一時的に姿を消します。
しかし21世紀に入り自然派ワインブームが到来すると「添加物を使わず、昔ながらの製法で作るオレンジワイン」に再び注目が集まるように。
ジョージアの伝統が現代に広まり、今では世界中のワイナリーでオレンジワインが作られるようになりました。
特に人気のある生産国は以下の通りです。
地 域 | 特 徴 |
---|---|
ジョージア | クヴェヴリ製法を守り続ける本場のオレンジワイン |
イタリア (フリウリ地方) | 伝統的な長期熟成のオレンジワインが多い |
スロベニア | 亜硫酸無添加の自然派オレンジワインが豊富 |
フランス (ロワール・ジュラ地方) | 伝統とモダンな技術を融合した独自のスタイル |
日本 (山梨など) | 近年、日本のワイナリーでもオレンジワインの生産が増加 |
現在は日本でも山梨県などでオレンジワインが造られ、カルディや成城石井といった店舗でも手軽に買えるようになっています。
オレンジワインの雑学ついでに、こんな話のタネもおすすめですよ。




オレンジワイン・赤ワイン・白ワインの製法の違い


オレンジワインの製法は白ワインと赤ワインの中間のような方法で行われます。
それぞれの製法の違いを比較しながら見てみましょう。
醸造プロセスの違い
種 類 | 仕込み方法 |
---|---|
白ワイン | 果汁のみを発酵(皮や種は取り除く) |
赤ワイン | 皮・種も一緒に発酵させる |
オレンジワイン | 白ブドウを使いながら、赤ワインのように皮・種ごと発酵 |
オレンジワインは白ブドウを使用しながらも赤ワインのように皮や種も一緒に発酵させます。
そのため色合いがオレンジがかったものになり、渋みやコクが加わるのが特徴です。
発酵容器による違い
発酵時に使う容器も、ワインの味わいに影響を与えます。
一概には言えませんが簡単に説明すると次のような傾向があります。
発酵容器 | 味わいの特徴 |
---|---|
クヴェヴリ | 自然なまろやかさ、深いコク |
木樽 | バニラ香が加わり、まろやかな仕上がり |
ステンレスタンク | フレッシュでクリーンな味わい |
オレンジワインは伝統的なクヴェヴリ製法が多く使われますが、現代では木樽やステンレスタンクを活用したオレンジワインも増えてきています。
醸造期間の違いと味わいの変化
オレンジワインの味は皮や種とどれくらいの期間接触させるかによって大きく変わります。
ぶどうの品種によっても異なりますが、醸造期間に絞ると次のとおり。
≪醸造期間の違いと味の特徴≫
醸造期間 | 特 徴 |
---|---|
数日〜1週間 | 色が薄く、軽めの味わい |
2〜4週間 | バランスの取れた標準的なオレンジワイン |
1ヶ月以上 | 渋みやコクが強く、濃厚な仕上がり |
発酵期間が長いほどオレンジワイン特有の渋みや深みが強くなり、個性的な味わいになります。
このように製法の違いで色や味わいに個性が生まれるため、同じオレンジワインでも生産国や品種、熟成期間で驚くほど味わいが異なります。
オレンジワインを美味しく飲むためのアイテム


オレンジワインは他のワインと異なる特徴を持つため専用アイテムの活用でより美味しく味わうことができます。
適切な温度管理と香りを引き出すグラス、酸化を防ぐ保存アイテムなどを揃えることでオレンジワインのポテンシャルを最大限に引き出しましょう。
ここではオレンジワインを美味しく飲むために役立つ必須アイテムを詳しく紹介します!
温度管理に役立つワインチラー



ワインセラーの言い間違いじゃないですよ?
ワインセラーやワインクーラーは聞いたことがあっても「ワインチラー」は馴染みがないかもしれません。
ワインチラーはボトルごと適温をキープできる便利なアイテム。
ワインの温度管理をするアイテムの中で最も簡易的なものの総称を指します。
コレクターでもない限り、大きなワインセラーや場所を取るワインクーラーは必要ありません。
幅を取らずコンパクトなワインチラーで充分でしょう。
≪代表的なワインチラー≫
種 類 | おすすめ度 |
---|---|
アイスバケット 氷水を入れて急冷できるが、冷えすぎる可能性あり | ★★★☆☆ |
冷却スリーブ 使用前に冷凍しておけばボトルに巻くだけで温度維持できる | ★★★★★ |
電動ワインチラー 温度設定と温度維持ができる反面、少し高価 | ★★★★☆ |
最も手軽かつコスパが良いのは「冷却スリーブ」、簡単に言えばワイン用の保冷バッグです。
保冷なので冷やしたり温めたりすることはできませんがある程度の維持ならぴったりです。


また、予算的に余裕があれば1台欲しいのが電動のワインチラー。
電動のワインチラーは温度管理・維持までするので飲む一時間前などにセットすればコンディション抜群なオレンジワインが頂けます。
加えてコンパクト、持ち運びも可能な優れもの。


オレンジワイン向きの香りを引き出すワイングラス
ワインの香りや味わいはグラスの形状によって大きく変わることをご存知でしょうか?
オレンジワインは白ワインと赤ワインの特徴を併せ持つため、空気にしっかり触れるグラスを使うと香りやコクがより引き立ちます。
≪ワインの種類ごとに最適なグラスの形状≫
種 類 | 最適なグラス |
---|---|
赤ワイン | ◆大きめのボルドーグラス ・空気との接触面積が広い ・空気と触れさせることで渋みを和らげ、香りを引き立てる |
白ワイン | ◆チューリップ型のグラス ・口径がやや狭めなことで香りを閉じ込められる ・酸味を感じやすい形状 |
オレンジワイン | ◆中〜大のブルゴーニュ型グラス ・空気をたくさん含み、ワインの香りと味を最大限に引き出す ・渋みとのバランスを整える |
オレンジワインには「ブルゴーニュ型」や「ボルドー型」のグラスがおすすめです。
さらにこだわる場合はオレンジワインの味や風味によって変えてみるのもアリ。
例えば軽めでフルーティーなら白ワイン寄りなのでチューリップ型でもマッチします。
迷ったらどちらも対応できる中サイズのブルゴーニュ型グラスを選べばOKです!
少し値は張りますが、ちゃんとオレンジワイン用のグラスが販売されています。
100円均一でもそれっぽいグラスはあるので、違いを試す程度ならそちらでも充分です。
合わせてこんな眉唾話もいかがですか?


味をまろやかにするデキャンタ
初心者の方に説明しておくと、デキャンタージュはワインをデキャンタ(ガラス容器)に移し替え、空気に触れさせることで香りや味を開かせる方法です。
オレンジワインは渋みやタンニンがしっかりしているため、デキャンタージュでさらに飲みやすくなります。
≪デキャンタージュの効果≫
■ 渋みや苦味を和らげ、口当たりをなめらかにする
■ 香りを開かせ、より複雑なアロマを楽しめる
デキャンタも様々なサイズがありますが目的は空気に触れさせることなので「標準タイプ」もしくは「ワイドボトム型」でOKです。
具体的にはこちら。


デキャンタまで家にあると「本格派」っぽい感じが伝わるし、友人や家族と一層ワインを楽しめますよ。
ワインの鮮度を保つストッパー
上述したようにオレンジワインは比較的酸化に強いですが、その分赤ワインのように酸化防止剤などの使用が少ないのが一般的。
そのため一度開けたらなるべく早めに飲み切るのが理想です。
ワイン好きなら一家に一つは欲しいストッパーですが、ない場合はラップなどご家庭にあるもので充分対応できます。
ストッパーに関してはこちらにまとめていますのでご覧ください。


次にオレンジワインの魅力を最大限に引き出すペアリングについて見てみます。
日本でも買える!おすすめのオレンジワイン


オレンジワインは世界中で造られていますが、最近では日本国内でも手軽に購入できます。
確かにスーパーや成城石井、カルディなどでも見かけますが、製法や地域でかなり差のあるオレンジワインをその中から選ぶのはリスキー。



そこで飲みやすい初心者向けオレンジワインを中心にご紹介します。
グルジア(ジョージア)ワイン サペラヴィ


味はヘビーなのに口当たりは軽く、さっぱりで飲みやすいので初心者でもOK。
陶器の瓶もオシャレでインテリアとしてもおすすめの一品です。
ちなみにグルジア系はオシャレな陶器が多くて、こんなセットもありますよ。


イタリア(フリウリ) アランサット


クセが少なく飲みやすいアランサットはイタリアのオレンジワインとして割と有名です。
オレンジっぽい金色は美しく、透き通るような果実味が印象的。
スロベニア GONCスターマン


知る人ぞ知る、クセ強めの個性派オレンジワインで上級者向け。
濃くてタンニンもあるのでパワフル、ちょっと変態的?な感じが好きな方はおすすめ!
ただ、取り扱いが少ないので試してみたい方はお早めにどうぞ。
フランス オレンジ・ゴールド


柑橘系の味わいが特徴的で初心者でも飲みやすい一品。
こちらに関してはエノテカのソムリエがオススメするオレンジワインの総合No.1としても名前が挙がっていました。
日本 プレステージ・クラス・オランジェ


果実味の柔らかいアロマの中に広がるグレープフルーツのような少しの苦み。
強い個性はないですが、飲みやすく日本人向けのオレンジワインです。
独断と偏見のおすすめ クレメンタイン・ピノ・グリ


可愛くてつい手を伸ばしてしまった一品。
飲み口は軽いのにしっかりとした味わいでプレゼントとしてもぴったりです。
【まとめ】オレンジワインがまずいは誤解!自分に合う1本を見つけよう
オレンジワインは製造方法から熟成までが幅広いワインです。
そのためクセの強いものも多く、知らずに手を伸ばすと好みではなかったということもあります。
自分に合った1本を見つけることで「まずい」から「美味しい!」へと印象が変わるかもしれません。
飲んだことのない方、または飲み慣れない方は、ご紹介した初心者でも飲みやすいオレンジワインを手に取ってみてはいかがでしょうか?
あなたにとって魅力的な1本となりますように。
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